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「戦略の定石」を探すことについて

僕は色々と本を読んだりするんですが、仕事や経営に関する本もそこそこ読みます。その中ではさまざまな理論やフレームワークに頻繁に出会うんです。頻繁に出会うんですが、実際の経営でどう使えばよいのかよく分かりません。

というか使えたことがあまりありません。

その一方で、具体的な企業の事例をもとに「この市場って当時どんな感じだったのかな?」「なぜこの判断をしたのかな?」「何が勝敗を分けたのかな?」などと考えていくと、自社にも応用できる原理原則的なものが少しずつ見えてくるような気がしています。

この「戦略の定石的なもの」にはかなりお世話になっています。

戦略の定石はそのまま真似できる施策ではなく、状況を捉え、答えをつくるための「考える順番」なのだと、ざっくりと理解しています。

そして戦略を学ぶことは、過去の正解を覚えることではなく、自分なりの答えをつくるための「定石」を学ぶことなのだと最近は思っています。

色々な企業の事例を眺める中で、どんな学びがあったのかをサクッと書いてみようと思います。

事例の「答え」ではなく、因果関係を読めるか

企業の事例を読むと、僕はつい「最終的に何をしたのか」にすごく気を取られてしまいます。

例えば、経営が厳しくなった企業同士が統合した事例であれば「この状況では統合するのが正解だったんだね!」と考えてしまいがちでした。

まあ短絡的ですね。

結論を覚えること自体に長年目を向けていた節穴野郎ですが、最近は結論を最重要視しないようにしています。

もちろん結論は大事なんですが、それよりも背景を見る方が勉強になるなと最近はすごく思うんです。

「市場ではどのような変化が起きていたのかな」「顧客や仕入先、競合との関係はどう変わったのかな」「これまでのやり方の何が通用しなくなったのかな」とか。

こうした背景を順番に見ていくと、企業がその判断に至った理由が少しずつ見えてくるような気がするんです。

同じ「企業統合」という結果でも、置かれている状況や解決したい課題が違えば、その意味はまったく異なりますよね。

事実は事実として理解するんですが、「何をしたのか」ではなく「なぜそれをする必要があったのか」を考える方が学びになっています。結論よりも、その手前にある因果関係を読むことが大切なのかもと、すごく感じます。

とはいえあまりに高度な判断すぎて全く自社に活かせないことも多々ありますが、それはまあ仕方ないと割り切っています。

具体と抽象を行き来し、「問い」を持ち帰る

事例の因果関係を整理したら、次はそこから、ほかの状況にも応用できる考え方を抜き出せるかどうかを意識するようにしてみました。

例えばですね、ある企業が厳しい競争を勝ち抜いた理由が、単なる値下げではなく、業界全体の構造を捉え直し、他社が対応できていない「難所」を押さえたことにあったとしましょう。

このとき、「あの会社が成功しているから自分も同じように値下げしよう!」と考えるのは、事例の表面だけを真似している状態です。

それよりも考えることはその施策が必要になった背景にありそうです。

「この業界では、どこが勝敗を分けているのかな」

「多くの会社がうまく対応できていないことは何かな」

「その難所を越えるためには、どんな能力や仕組みが必要なのかな」

などと考えたほうが、別の事業にも応用できますよね。

「なるほど、だから成功したのね!」と納得できたら「戦略の定石の理解」に一歩近づいたとしています。

逆に「〇〇をやるとうまくいくんだ!」のような施策ベース思考ではなかなか定石はつかめませんでした。

ということで、しっかり理解するためには「考える順番」が大事なんじゃないかなと思っているんですね。

まず外部環境の変化を考えてみて、その次に、業界で勝つために欠かせない条件、いわゆるKSF的なものを考えてみます。そのうえで、自社がその条件をどこまで満たしているのかを確認し、足りないものを明らかにするというプロセスが大事なんじゃないかなあと。

具体的な事例から共通する構造を抜き出してみて、一つの仮説としての原理原則として捉え直してみる感じです。このある種「具体から抽象」の動きによって、一つの事例が、ほかの状況でも使える学びに変わっていくんじゃないだろうかと。

そして大切なのは、事例の具体的な施策を持ち帰るのではなく、事例から得た「問い」を持ち帰ることだとも思っています。

「問い」を、自分の仕事に当てはめる

事例から原理原則や問いを抜き出したら、今度はそれを自分の仕事に戻して考えてみます。

「あの会社はこうして成功したんだよね」で終わらせず、自社の業界では何が起きているのか、同じ考え方を使って問い直してみようとします。

例えば、「お客様が求める価値は変わっていないか」「この業界で多くの会社がうまく対応できていない難所はどこか」「自社は、業界で勝つために必要な条件を満たしているか」「今取り組んでいる施策は、本当に課題の解決につながっているか」…などなどといった具合です。

これがまあ難しい…。自社のことになると急に何もできなくなります…。

でも最近は昔よりも課題が見えている気がしてます。昔はぼんやりとしか見えていなかったものが、最近では輪郭は見えるようになっている感覚です。

もし課題をもっと具体的にできれば、打ち手もさらに具体的になりますよね。

反対に、課題が曖昧なままでは「営業を強化しよう!」「もっと発信しよう!」といった、何となく正しそうな施策に流れてしまいます。そしてこれまでそんなことばっかりやっていました。大反省です。

この大反省を踏まえ、「具体的な事例から問いを抜き出し、それを自分の状況に合わせて再び具体化する」という往復を繰り返してみていますが、知識が少しずつ、実際の判断に使えるものへ変わっていく実感があります。

定石を増やし、生き残る確率を高める

経営環境が変わり続ける以上、過去の正解をそのまま使い続けることはできません。

戦略にはある程度の「定石群」があるように思いますが、特定の戦い方だけで長く生き抜いていけるほど経営は甘くなさそうです。

色々な本を読んだり、人の話を聞いたりしていると、僕ごときでも戦略の定石らしきものが少しずつ見えてきます。

ただし、それはあくまで「その企業が、その時の環境に置かれていたからうまくいったこと」かもしれません。表面的な打ち手だけを鵜呑みにするのは、やはり危ない気がします。

それでも、過去にどのような選択肢があり、企業がどこで何を選び、あるいは何を選ばなかったのかを知っていることには意味があると思うんです。

毎回勘だけで判断するよりも、「あの企業は似た状況でこう判断したよね」「逆に、ここでは動かなかったよね」という事例を知っているほうが、成功する確率を少しは高められるはず。うまくいかなかったときにも、どの前提や考え方が間違っていたのかを振り返りやすくなりますし。

戦略の定石は、そのまま使える正解ではなく、判断するための選択肢を増やしてくれるものなのだと思っています。

だからこそ、具体的な事例から因果関係を読み取り、そこから原理原則を抜き出し、自分たちの状況に合わせて考え直し、実際に試してみること、そしてそれを継続することが大切なのだと思います。

会社を長く生き残らせるためにも、さまざまな定石を理解し、環境や課題に応じて使い分けられるようにならなくてはいけないなと、改めて強く感じています。

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Kentaro Matsuoka