東京メトロ永田町駅から徒歩5分。国会議事堂の隣に佇む建物、それが国立国会図書館です。
「日本で出版されたすべての本が揃う場所」として知られるこの図書館は、一般利用者も利用することができます。
オンライン上で提供されている「国立国会図書館デジタルコレクション」は以前から利用していましたが、実際の施設を訪れるのは今回が初めて。
今回は東京本館を訪れた体験をもとに、その魅力についてお伝えします。
国立国会図書館の3つの主要な役割
まずは国会国立図書館の役割について。
国立国会図書館は、国会に属する日本唯一の国立図書館で、「議員の調査研究に資するため」に設立されました。
主な役割は、以下の3つ。
- 議員の立法・調査活動を支援する調査部門と資料提供体制の整備
- 国内外の出版物や歴史的文献の体系的収集・保存
- 一般利用者向けの閲覧・複写、オンラインサービスの情報提供
現在は東京本館・新館(東京都千代田区永田町)、関西館(京都府精華町)、国際子ども図書館(東京都台東区上野)の3拠点で構成されています。
2023年度時点の蔵書数は全体で約4,753万点。納本制度により、書籍・雑誌・新聞など幅広い資料を網羅的に収集・保存しています。
また一般利用者向けの閲覧・複写・オンラインサービスを提供し、多くの資料を共有しています。
入館前の準備と注意点
国立国会図書館を利用するには、事前の利用者登録が必要です。運転免許証や保険証などの身分証明書を持参し申請書を記入すれば、その場で登録可能です。
登録利用者カードは、本館に隣接した国立国会図書館新館で発行され、Webからの事前登録を行えば発行手続きがスムーズに進みます。有効期限は登録日から3年間で、有効期間内にログインまたは来館利用することで有効期間が更新されます。
また、館内ではカメラなどの一部持ち込み不可の物品があり、指定のコインロッカーを利用する必要があります。
知の迷宮を歩く館内探検
登録を終え、いよいよ館内へ。
東京本館は本館と新館で構成されており、本館は中央書庫式で約450万冊、新館には約750万冊を収容されています。
各フロアには異なるテーマの「知の世界」が広がり、様々な分野の資料室などが設けられています。
多くの資料は閉架式で保管されており、利用者は館内端末またはスマートフォンで「国立国会図書館サーチ」を使って検索・請求し、約20〜30分後に資料を受け取ることができます。
一度に利用申し込み可能な資料数は図書5点、雑誌10点までです。
館内はとても広大で迷うこともありますが、偶然の出会いがあるのも魅力のひとつ。計画的な移動も良いですが、時には気の向くまま歩いてみることで、予期しない発見に遭遇できるでしょう。
オンラインでのアクセスも可能
実際に国立国会図書館に訪問できない場合でも、オンラインでの利用が可能です。
「国立国会図書館デジタルコレクション」では、古地図、戦前の新聞や写真、貴重書のページ閲覧など、様々なコンテンツがデジタル化され公開されています。
古い地図を眺めながら江戸時代の町並みを想像したり、戦前の雑誌広告から当時の生活を垣間見たりする体験を味わえます。
キーワードの組み合わせを工夫し、出版年で時代を限定し、資料種別を変えてみたり、関連資料から芋づる式に探索したりすることで、検索の幅が広がります。
知識に酔う体験を味わえる国立国会図書館
今回、初めて訪れた国立国会図書館。
館内には大学生から年配の方まで幅広い年齢層の利用者がおり、研究を志す人だけでなく、純粋に好奇心や”本の世界”への愛情を持つ方々が集まっている印象を受けました。
また、司書の方々が検索システムの使い方を丁寧に教えてくださったり、関連資料を的確に案内してくださったりと、利用者一人ひとりの探求をサポートする姿勢が印象的でした。
国立国会図書館は知識への探究心を刺激してくれる場でもあり、知識に「酔う」という体験を味わえる特別な場所です。
オンライン上のアクセス可能なデジタル化された資料も素晴らしいですが、実物が持つ「重み」や「歴史の厚み」は、実際に訪れなければ味わえない貴重な体験です。
情報があふれる現代だからこそ、質の高い情報にじっくりと向き合う時間の価値を改めて実感したひとときでした。