自分は幼い頃から、いわゆる「テレビっ子」でした。
家に帰れば、まずはテレビをつけるのがルーティンで、今でもそれは変わっていません。特に見たい番組が決まっていなくても、テレビがついていること自体が当たり前だったんです。
ニュースやドラマ、バラエティー、音楽番組。意識して見ていたものもあれば、何気なく流れていたものもあります。
今では、Netflixなどで過去のドラマや映画なんかも手軽に見ることができるようになりましたが、その当時のことも思い出せます。
そんなテレビやラジオの記録に触れられる場所が、横浜・日本大通りにあります。
それが「放送ライブラリー」です。
名前だけ聞くと、少し小難しそうな印象ですが、実際に訪れてみるとテレビやラジオを通して時代の空気に触れられる場所でした。
放送ライブラリーは、放送における図書館のような場所
まずは放送ライブラリーについて簡単に説明します。
放送ライブラリーは、放送法に基づいて設置された、日本で唯一の放送番組専門アーカイブ施設です。
自分は訪れるまで、図書館のように全国のいくつかの都市に設けられているものだと思っていました。しかし現在、放送ライブラリーとして常設されているのは、横浜の1カ所だけです。
現在は「全国放送番組アーカイブ・ネットワーク」、通称「番組アーカイブネット」という取り組みが進められています。
これは、放送ライブラリーで公開されている番組の一部を、全国各地の図書館などでも視聴できるようにする仕組みで、放送史に残る番組や受賞番組などが選ばれ、それぞれの施設に設けられた端末から無料で見られるようになっているようです。
館内には、NHKや民放各局が制作してきたテレビ・ラジオ番組、CMなどが保存されており、その一部を無料で視聴できます。書籍を手に取って読む図書館のように、ここでは過去の放送番組を選び、自分のペースで見たり聞いたりすることができます。
放送ライブラリーがあるのは、横浜・日本大通りに建つ横浜情報文化センターの8階と9階。番組を視聴できるだけでなく、展示やイベントを通じて、テレビやラジオが歩んできた歴史や、放送を取り巻く現在の状況についても知ることができます。
開館時間は10時から17時までで、入館や番組の視聴に料金はかかりません。休館日は毎週月曜日で、月曜日が祝日または振替休日の場合は、翌平日が休館日となっており年末年始にも休館期間が設けられています。
みなとみらい線「日本大通り駅」3番情文センター口に直結しており、JR・横浜市営地下鉄の「関内駅」からも徒歩10分ほどでアクセスできます。
同じ横浜情報文化センターには、「ニュースパーク」の愛称で知られる日本新聞博物館も入っています。
こちらは、新聞やジャーナリズムが社会のなかで果たしてきた役割を、歴史的な資料や体験型の展示を通じて学べる施設です。
自分も以前に訪れたことがあり、日本の新聞がどのように生まれ、時代とともに変化してきたのかに触れました。
テレビやラジオの歴史をたどる放送ライブラリーと、新聞の歩みを伝えるニュースパーク。ひとつの建物のなかで、異なるメディアの歴史に触れられることも、横浜情報文化センターを訪れる面白さのひとつです。
番組やCMをじっくり楽しめる視聴ホール
放送ライブラリーの中心となるのが、8階にある視聴ホールです。
ここでは、NHKや民放各局が制作してきたテレビ・ラジオ番組、CMなどを、個別のブースで視聴できます。
公開されている番組は、ドキュメンタリーや教育・教養番組をはじめ、連続テレビ小説、大河ドラマ、民放ドラマ、時代劇、バラエティー、クイズ、音楽番組など実にさまざまです。名作CMや、昭和30年代から40年代にかけて映画館で上映されていた劇場用ニュース映画も含まれ、その数は約4万本も保存されているんだとか。
これだけの番組が並んでいると、何を見るかを決めるだけでも時間がかかりそうですね。懐かしい番組を探すのもよいですし、これまで触れる機会のなかった時代の放送をたどってみるのも面白いかもしれません。
視聴ブースは、1人用、2人用、3人用を合わせて60台、全100席用意されています。
視聴する場合は、8階の入り口に総合受付がありますので、その旨を伝える必要があります。16:30が最終受付となっているので注意しましょう。
自分が放送ライブラリーに到着したのは、すでに16時を過ぎた頃でした。館内を見て回っているうちに時間が過ぎ、今回は視聴を断念することになりました。
せっかくなら、昔のドラマやCMをいくつか見てみたかったところです。視聴ホールについては、次に訪れる理由として残しておくことにしました。
番組を見るだけでなく、放送の歴史や裏側を学べる展示ホールも完備
9階には、放送の歴史や番組制作の仕組みについて学べる展示ホールがあります。
展示では、ラジオ放送が始まった時代から、街頭テレビに人々が集まった時代、そしてテレビがお茶の間へと普及していった時代まで、放送史に残る場面がミニジオラマで紹介されています。
今では、家にテレビがあることも、スマホで映像を見ることも当たり前になりました。しかし、放送が始まった頃は、ラジオから声が聞こえてくることも、離れた場所の出来事を映像で見られることも、それ自体が大きな驚きだったはずです。
小さなジオラマを眺めながら、放送が人々の暮らしのなかへ少しずつ入り込んでいった様子をたどることができました。
館内には、放送番組が制作され、家庭へ届くまでの流れを大型パネルで紹介するコーナーもあります。時代を代表する番組や重大ニュースのハイライト映像を見られるほか、ニュース番組のアナウンサーや中継リポーター、複数のカメラ映像を切り替えるスイッチングなどを疑似体験できる展示も用意されていました。
テレビを見ている側からは、放送の裏側はなかなか見えにくいものです。
普段は何気なく見ているニュースや情報番組も、カメラや音声、照明、スイッチング、編集、アナウンス、送出など、多くの人と技術によってつくられていることがわかりやすく紹介されています。
放送ライブラリーでは、こうした常設展示に加えて、テレビやラジオ番組の出演者、制作者を招いたセミナーも定期的に開催されているようです。
人気番組が生まれたきっかけや制作の裏側、関係者だからこそ語れるエピソードなどを、直接聞ける機会も設けられています。
自分が訪れた日には残念ながら開催されていませんでしたが、番組の保存以外にも力を入れているようです。
映像があふれる今、放送の歴史に触れて思うこと
今は、スマホひとつで映像を撮影し、編集し、世界に向けて発信できる時代です。
SNSではショート動画が次々と流れ、配信サービスでは多くの作品をいつでも見ることができます。映像は以前よりも身近になり、自分の見たいものを自分で選ぶことが当たり前の時代になりました。
その一方で、同じ時間に同じ番組を見る機会は、以前よりも少なくなったように感じます。
テレビが今よりも大きな影響力を持っていた頃、前日に放送されていた番組が、翌日の学校や職場で共通の話題になることがありました。
「昨日、〇〇の番組みた?」という会話は、学生時代に何度もした記憶があります。
現在のように、それぞれが自分の関心に合わせて映像を選べることにも、大きな魅力があります。
放送ライブラリーを訪れたことで、放送がどのように社会と関わってきたのかを知ることができたのは大きな気づきだったように感じます。
今回は到着が遅く、視聴ホールで番組を見ることができませんでした。セミナーやイベントが開催されている日でもなかったため、まだ触れられていない部分も多くあります。
改めて過去の番組やCM、生の声を体験してみたいと思います。