2025年も、気づけば終わりに近づいてきました。
振り返ってみると、今年は「変化」という言葉を何度も使った一年だったように思います。
特にSEOの世界では、大きな転換点がいくつも重なりました。検索の在り方や成果の測り方も変化し、これまで当たり前だと思っていた前提が更新されていった一年だったと感じています。
この記事では、2025年に起きたSEOに関する出来事を振り返りながら、その変化の中で自分自身が何を感じ、どう向き合ってきたのかを整理していきます。
2025年に起きたSEOに関する出来事
2025年のSEOを振り返ると、変化がはっきりと可視化された一年だったと言えます。特にAI Overviewsを中心としたAI検索の進展は、月を追うごとに存在感を増していきました。
ここでは、2025年に起きたSEOおよびLLMOまわりの主な出来事を、時系列で整理していきます。
1〜2月|AI Overviewsが「例外」ではなくなり始めた時期
2025年の年明け時点で、検索結果にはすでに小さな変化が現れ始めていました。
アメリカのデスクトップを対象とした調査によると、AI Overviewsの表示率は1月時点で約6.5%、3月には13%を超えるまでに増加しています。一部の検索では、AIが自動で作成した要約が、試験的に表示されるものではなく、検索結果の一部として当たり前に表示されるようになり始めていました。
この時点で、AI Overviewsは「いつか導入される新機能」ではなく、すでに日常的に使われ始めている存在として受け止める必要がある状況になっていたと言えます。
3月|コアアップデートとAI検索の方向性が明確になった月
3月は、2025年のSEOを語るうえで、特に印象的な出来事が続いた月でした。
3月5日、GoogleはAI Overviewsをより高性能な「Gemini 2.0」で強化すると発表。あわせて、新しい検索タブである「AI Mode」のテストも開始されたのもこの頃です。
AI Modeでは、これまで一般的だった「青いリンクが並ぶ検索結果」とは異なり、AIが会話のような形で要点をまとめて答える画面が中心になります。検索結果の一覧を見るというよりも、AIから説明を受ける感覚に近い表示です。
この発表によって、検索結果の主役が「リンク」から「AI」へ移っていく未来が、かなり現実的なものとして示されました。
その後、3月13日から27日にかけて、March 2025 Core Updateと呼ばれる大規模なアップデートが行われました。海外の分析では、検索順位の変動が非常に大きく、コンテンツの役立ち度やスパム対策など、複数の評価基準が同時に見直されたと考えられています。
このアップデート期間中、特定のジャンルではAI Overviewsの表示が一気に増えました。エンタメや飲食、旅行など、情報を集める目的の検索を中心に、検索結果を見ただけで疑問が解決してしまうケースが、はっきりと目に見える形で増えていった時期でもあります。
5月|「CTRが下がる」という現実が数字で共有された
5月は、AI Overviewsの影響が、感覚や印象ではなく、はっきりとしたデータとして共有された月でした。
BrightEdgeが公開した分析レポートによると、AI Overviewsが導入されてからの1年間で、検索結果の表示回数は増加する一方で、サイトへのCTRは約30%減少という結果が示されています。
検索する人の数や検索行動そのものは増えているにもかかわらず、答えが検索結果の画面内で完結してしまい、サイトまでたどり着かないケースが増えている構図が、誰にでも分かる形で示されました。
さらに、Google I/O 2025では、AI Overviewsが200以上の国・地域、40以上の言語へ拡大したことが発表されます。
2024年までは一部の地域で試験的に使われていたAI Overviewsが、2025年以降は、世界共通の検索体験に近づいたことを象徴する出来事だったと言えます。
5〜6月|日本でもAI検索の影響がはっきりと見え始めた時期
春から初夏にかけて、日本国内でもAI OverviewsとCTRの関係について、具体的な分析結果が出始めました。
調査によると、AI Overviewsが表示される検索では、上位に表示されているページであっても、クリック率が下がる傾向が確認されています。これは検索結果の上部でAIが要点をまとめてしまうため、ページを開かなくても疑問が解決してしまうケースが増えているためです。
一方で、関連する検索語を表示するPASF(People Also Search For)などを意識することで、AI Overviewsの中に情報源として引用される可能性があることも示されました。
単に順位を取るだけでなく、「どこで、どのように使われるか」が意識され始めた時期でもあります。
こうした流れの中で、日本市場でも「LLMO」「GEO」「AIO」といった言葉が使われるようになり、AI検索に最適化するSEOという考え方が、一気に広まっていきました。
7〜8月|ゼロクリック化が進み、スパム対策も強化された時期
夏以降、検索結果を見ただけで答えが分かってしまう、いわゆる「ゼロクリック検索」の影響が、よりはっきりと現れるようになりました。
海外の分析では、ニュース関連の検索において、ゼロクリック率が50%台から70%近くまで上昇したと伝えられました。記事を開かずに情報を得る利用者が、大きく増えていることが数字として示されました。
こうした状況を背景に、8月末から9月にかけて、August 2025 Spam Updateが実施されます。
このアップデートでは、他サイトの評価を利用する手法(Parasite SEO)や、AIを使って大量に作られた低品質なコンテンツなど、これまで問題視されてきた手法への対策が、より強く意識されるようになりました。
AI検索が進む一方で、「信頼できない情報をどう排除するか」という点も、SEOにおける大きなテーマとして浮かび上がった時期だったと言えます。
9〜10月|順位至上主義からの転換が語られ始めた時期
9月にはAI Modeが日本でも使えるようになり、AIを前提とした検索体験がより身近なものになりました。
秋に入ると、業界全体でSEO戦略を見直す動きが目立つようになります。「AI検索の広がりによって、これまでのようにオーガニック流入が伸び続けるとは限らない」そうした考え方が、徐々に共有されていきました。
その結果、従来の順位重視のSEOだけでは限界があるという認識が、現場レベルでも広がっていきます。
10月には、コンサルティング会社のMcKinseyが、AI検索を「新しいインターネットのフロントドア」と位置づけるレポートを公開しました。
この中で「Generative Engine Optimization(GEO)」という言葉が明確に使われ、LLMOが、これまでのSEOの延長線上にある新しい戦略レイヤーとして整理された点は、2025年を象徴する出来事のひとつだったと言えます。
11〜12月|AI検索とスパム、二つのリスクが並び立つ年末
年末にかけては、INP時代のCore Web Vitalsの整理や、AI OverviewsによるCTR低下の最新データが相次いで公開されました。
分析では、AI Overviewsが表示されるクエリにおいて、CTRが半減するケースも確認され、自然検索・広告の双方が影響を受けている実態が浮き彫りになります。
11〜12月にかけて、Search Consoleでは注釈機能の追加や、Performanceレポートの条件設定をAIが支援する実験機能が発表されました。
SEOの変化によって感じたこと
AIの発達によって、業務の効率化は目に見えて進みました。記事制作や情報整理、リサーチなど、これまで時間をかけていた工程が短縮され、仕事の進め方そのものが少しずつ変わっていったように思います。
そのスピード感には期待もありましたが、急速に変化する流れに対応し続けられるのかという不安も、同時に感じていました。
特に、AI Overviewsの拡張によって、これまで前提としてきたアクセス数が減少していく可能性については、無視できない現実として受け止めていました。
しんどさ自体は、意外と大きくはありませんでした。ただ、これまで当たり前のように使ってきたKPIを、そのまま使い続けることへの違和感は強くありました。新しい評価指標をどう設計するのか、何を成果と定義するのか。その整理には、少なからず難しさを感じた部分です。
それでも、不思議と前向きでいられたのは、誰も正解を持っていない状況だったからだと思います。全員が模索している状態だからこそ、そこに楽しさや、ワクワクする感覚がありました。
AIの発達によってLLMOという概念が登場しましたが、年初と年末で、SEOそのものの定義が大きく変わったとは感じていません。
やるべきことの本質は、これまでと変わりません。むしろこの一年で、SEOの概念や基礎を改めて振り返る時間ができたことは、結果的に良かったと感じています。
自分自身の振り返り
2025年の自分を振り返ると、プレイヤーでありながら、少しずつ「考える側」に軸足を移し始めた一年だったように思います。
大きなトピックとしてはウェブ解析士を取得したことです。これまでぼんやりとしていた部分を改めて見直すことができたことはよかった点です。資格を取ること自体が目的というよりも、学んだことを業務にどう活かしていくか、その循環を作っていくことを意識するようになりました。
成長したと感じる部分は、関わらせていただいたクライアントから多くを学ばせてもらった点です。本来であれば、こちらが価値を提供する立場ではありますが、実際には多くの気づきや学びを与えていただいた一年でもありました。
特にコミュニケーションの取り方や、これまで当たり前だと思っていた仕事の進め方を見直すきっかけにもなりました。
一方で、足りなかった部分にも数多く気づかされました。
2025年は、個人的にはしんどい状況が続いた一年でもあります。ただ、それは自分自身のこれまでの行いが招いた結果でもあり、今振り返ると自分を見直すために必要な時間だったと捉えています。
会社としても、小さな変化がいくつも重なった一年だったように感じます。これまでのやり方を根本から見直したことで業務の向き合い方も変化していったように思います。
また、デザイナーの小林と連携する機会が増えたことも自分にとっては大きな気づきを得ることができました。仕事は、一人では成立しません。2025年は、その事実を頭で理解するだけでなく、実感として受け止められた一年でもありました。
代表である松岡の期待に十分に応えられず、結果として迷惑をかけてしまった一年でもあります。その事実は重く受け止めつつ、次につなげていかなければならないと感じています。
2026年に向けた抱負
2026年の軸は、とてもシンプルです。
それは、自分自身が成長し、その成長を会社の成長につなげていくことです。
SEOやLLMOは、これからも確実に進化していきます。その変化に振り回されるのではなく、状況を受け止め、学び続けながら、成長していける仕組みを作っていきたいと考えています。
これから先、チャレンジできる機会は、きっとさらに増えていくはずです。だからこそ、会社一丸となって、その変化を前向きに捉え、楽しみながら取り組んでいけたらと思っています。