最近、X-Eシリーズの新モデル「X-E5」が登場しましたね。
画素数は従来の約2610万画素から約4020万画素へ。手ブレ補正(IBIS)も搭載され、高画素センサーを活かした描写力の進化には目を見張るものがあります。他にも気になるアップデートはたくさんありますが、それでも私は、まだまだX-E4を手放す気にはなれません。
このカメラ、数面前に購入してからずっと使い続けているのですが、本当にちょうどいい存在なんですよね。
軽くて、小さくて、写りも良くて、街歩きのお供には本当にちょうどいい。シャッターを切るハードルが低いのに、撮れた写真には不思議と手応えがある。そんな相棒です。
歩きながら気になった風景にスッと向けることができるスナップシューターとして、これほど信頼できるカメラはなかなかありません。
クラシックネガの魅力
何より、「クラシックネガ」の写りがすごく好きなんです。
この「クラシックネガ」、富士フイルムが長年培ってきたフィルム技術をベースにした色再現で、往年のネガフィルム「SUPERIA(スペリア)」の質感をデジタルで再現したものと言われています。彩度は控えめで、コントラストはやや強め。シャドウがしっかり締まりつつも、ハイライトには独特の柔らかさがあって、どこか懐かしい風合いが漂います。
海ばっかりになってしまいました。
「フィルムのように見える」だけじゃなく「見た記憶がある風景のように写る」のが、クラシックネガの面白いところ。記録写真のはずが、気づけば記憶のアルバムみたいになっている。そんな魔法のような色味です。
「写真らしい写真」の手触り
決して古臭くはなくて、むしろいつもどこか映画のワンシーンのように仕上がる。スマホの高精細な画像には出せない、あの「ふわりとした空気感」が、このフィルムシミュレーションには詰まっている気がします。
思えば10代の頃、私はトイカメラに夢中になっていました。
使っていたのは、ロモグラフィーの一角として知られるSmena-8M。露出もピントも曖昧で、シャッターを切っても写っているかどうか分からない。
そんな頼りなさすら愛おしい、不思議なカメラでした。
せっかくの絶景がまったく写っていないこともあれば、逆に、何気ない瞬間が驚くほど美しく焼きついていることもありました。
その「偶然ヒットしたときの快感」のようなものが、どうしても忘れられないのです。
クラシックネガはあの頃の「偶然の一枚」を、安定して再現してくれるような手応えがあります。
どこを撮っても、なぜかいいのです。空気ごと写っている気がするような感覚。
だから旅先でも、日常でも、X-E4と一緒のときはたいていクラシックネガを選びます。
撮るたびに「なんか、いいな」と思わせてくれる。その安定感とやさしさに、いつも助けられています。
X-E4という器
軽やかで、そっけないほどにシンプル。
構えずに撮れるのに、仕上がりにはきちんと芯がある。X-E4は、技術を誇示するのではなくゆったり写真と向き合わせてくれるカメラです。
「写真がうまくなった」と思わせるのではなく、「写真とちょっと仲良くなれた気がする」。そんな感覚を、何気ない日々のなかでそっと差し出してくれるような気がします。
高画素や高性能を追い求める楽しさももちろんありますが、X-E4とクラシックネガの組み合わせはそれとは別の写真の愉しみを、いつも思い出させてくれます。
これからも、もっと高性能なカメラはたくさん出てくるでしょう。
けれど、FUJIFILM X-E4とクラシックネガの組み合わせは、きっとこれからもしばらくは私の中のスタンダードであり続けてくれる気がしています。