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積読をやめて思ったこと

いきなりなんですが今年から積読をやめていまして。

元旦にこんなのを書いていたりしまして、それを継続しています。

少なくとも週に一度は本屋に足を運ぶ習慣は相変わらず続いていることもあり、気を抜くとすぐに本を買いたくなってはしまいますが。

でも我慢です。

今年は「一冊ずつ丁寧に読む」という方針を決め、衝動的な購入は徹底的に控えるようにしています。立派ですね。

読みたい本がたくさんあるという状態は、それだけで幸福なことだとは思います。ただ一方で、買った本の内容を十分に理解できないまま次へ進んでしまうことに対して、「本好きとしてなんだか違うんじゃないか」的な感覚がありました。その違和感が自分の中では次第に大きくなり、思い切って積読をやめる決断に至ったわけです。

実際に生活の中で起きた変化はなかなかに大きく、自分でも少し驚いています。そんなことを書いてみようかと。

もちろんここに書くのはあくまで個人的な感想なので、ご容赦を。

速読や積読をやめて精読にしたら言葉への感度が上がった

もともと私は、本を読む速度が比較的速いほうでした。

要点を拾いながら全体を素早く把握していく読み方が割と得意で、その勢いのまま1日に何冊も読み進めることができてしまうタイプでした。

その読み方に慣れていたからこそ本を買う量も自然と増えていきました。ざーっと読み、ばーっと買い、またざーっと読むという循環が当たり前になって年々も経ちました。

なんとなく要点は理解できているつもりだったんですが、早く頭に入った内容ほど早く抜けていってしまう傾向があったように感じます。理解しているつもりでも、実際には自分の中に残っていなかったのかも。

もったいないですね…

しかし、読書を始めたばかりの頃は一冊をゆっくり読むのが当たり前でした。

その頃に読んだ本の内容は、今でもすごく鮮明に覚えています。十四歳くらいの頃に読んだ本であっても言葉遣いや表現の細部まで思い出せます。

さて、改めて昔のように時間をかけて読むようにしてみると、これまで見落としていた言葉に数多く出会うようになりました。一般的に重要だとされる箇所だけでなく、その周囲に置かれている表現や言い回しの中にも、印象に残る言葉がたくさんあることに気づきます。

こんな言葉があったのか!と思ったり、昔はこんな言い回しが自然に使われていたのか!と驚いたりすることが増えました。

もちろん効率よく要点を抜き出して理解する読み方にも価値はあると思います。

ただ少なくとも私にとっては、ゆっくり読むほうが明らかに相性が良いように感じています。

言葉との出会いを大事にしたいんです。

精読に切り替えてからは、本を読むという行為そのものが以前よりも幸せに感じるようになりました。

読書に対するお金の無駄遣いがなくなった

これはまあ当然といえば当然なのですが、積読をやめてから本に使うお金が明らかに減りました。

その分NISAとかできていいこといっぱいです。

以前は特に意識することもなく本を買っていましたが、振り返ってみると毎月それなりの金額を使っていたようです。

ざっくりと記録を遡って確認してみましたが、一か月に万単位を使っていた時期も少なくなく。

読書は大切な投資だと思っていますし、本にお金を使うこと自体を否定するつもりは一切ありません。ただ、読めない量の本を買い続けてしまう状態は健全ではなかったのだと思います。

「本を買い、とりあえず読み終える」ことがゴールになってしまい、著者の言葉との対話が疎かになってしまっては本末転倒です。

今年は「一冊読み終えるまでは次の本を買わない」というルールを決めて過ごしています。

その結果、四月の時点で今年購入した本は20冊程度にとどまっています。以前の自分からするとかなり少ない冊数ですが、その分、一冊一冊を確実に読むことができている実感があります。

本を買う量が減ったことで読書の満足度はむしろ高くなりました。

手元にある本に集中できるようになり「読めていない本が積み上がっている」という不思議な満足感からは解放されたように感じています。

リサーチする癖がすごくついた

先ほどの話をもう一度しますが、今年から「一冊読み終えるまでは次の本を買わない」というルールを決めて生活しています。その結果として、本を選ぶ前の時間の使い方が大きく変わりました。

簡単に言えば購入の判断を慎重にするようになったんです。

せっかく読むのであれば、自分にとって本当に必要な一冊を選びたいと思うようになりまして。

ということもあり、本を選ぶ前に調べる時間がすごく増えました。読んでいる本の中で引用されている文献を追いかけたり、著者の別の著作を調べたりすることが増えています。それがまた勉強になったりしています。

いま自分が考えている課題や関心と結びつく本を探すようにもなりました。

以前のように「なんとなく良さそうだから買う」という選び方は皆無になりました。

本を選ぶときに慎重になる習慣はそのまま日常の買い物にも影響しているようです。

本当に必要なものかどうかをしっかり立ち止まって考えるようになり、結果として不要な買い物をすることが思いっきり減りました。

必要ではないものを手に入れても、知識としても生活としても定着しにくいという感覚が昔からうっすらとありました。そのため、自分にとって意味のあるものを選ぶという現状はかなり心地よかったりします。

この生活になってから恐ろしく物を買わなくなりましたね…

今後はもっとペースを落としたい

精読生活を続けてみているんですが、もっとペースを落とそうかと。

これまでは、できるだけ多くの本に触れることをどこかで目標にしていたような気がしますが、本の数よりも、その一冊とどれだけ長く関わるかのほうが大切なのではないかと考えるようになりましてね。

もちろんインプットの量、というか得るものの総量は減らしたくありません。

必要な知識についてはしっかり吸収していくつもりです。それとは別に、これは自分にとって必要だ、本質的だと思える本については何度も繰り返し読む時間を確保したいと考えています。

良い本は一度読んだだけでは読みきれないものだと思います。

時間を置いて読み返すことで理解が深まったり、その時の自分の状況によってまったく違う意味を持って向き合ってくれたりします。

これからは読む冊数を増やすことよりも、一冊の本と丁寧に付き合う時間を大切にしていきたいんです。

読書の速度を思いっきり落とすことで、むしろ思考の速度がぐわっと上がるような気がしています。

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Kentaro Matsuoka