暑さの厳しい今日この頃ですが、夜は心なしか風が心地よい日もあります。
命の危険を感じる猛烈な暑さを恐れて屋外を避けるように生きていましたが、今夜は少しだけお散歩をして帰ろうと思います。
平日は人でごった返す元町ショッピングストリートも、夜には静けさを取り戻します。
学生の頃、この場所からそう遠くない古びたコンビニエンスストアで働いていたことを思い出します。バイトの帰り道は決まってこの元町を1人練り歩いていました。
理由はこれと言ってありませんでしたが、歩いているとその日起きたことや思ったことが少し整理できる気がするのです。ちょっと嫌なことがあった日も、気分良く終えることができた日も、よくこの通りを散歩していました。
大学を卒業して10年が経ってしまいました。時の経過はとても早いものです。今もこうして横浜で働いているとは、当時は全く想像もしていませんでした。三十路を過ぎて少し疲れが残りやすい体になった今も、気分転換がてらこうして帰り道にわけもなく夜の元町を歩いています。
夜風に吹かれるだなんて格好つけたこと言っていますが、なんだかんだ煮え切らなかった仕事のことは考えてしまいます。ふと思いついたことを歩きながらメモすることもよくあることです。
日中は虚げな街灯も夜になると命が吹き込まれたように小さく輝きます。とんでもない乱視のせいもあってか、この街灯たちがとても綺麗に映るのです。
ぼーっと歩いていると時折常設のベンチに座ります。何箇所もあるので幾度となく腰をかけます。これを何度か繰り返します。
閉店後の店に囲まれていると少しだけ非日常を感じます。この雰囲気が結構好みなのです。
横道に逸れると、可愛らしいトラットリアや飲み屋がポツポツと現れます。温もりを感じる空気感の素敵なクラフトマンシップストリートです。散歩が目的なので今日は我慢。
元町プラザが見えたら往復地点です。いそいそと自宅へ帰ります。
距離としては長くはないのですが、この絶妙な距離感が心を落ち着かせてくれます。
少し不審かもしれませんが、頭の整理がつかないときには数往復することもあります。幸い、職務質問は受けていません。こんか小さなルーティンが、少しだけ自分の心を穏やかにしてくれる気がするのです。