0
  • Interests
  • Takahiro Ichikawa

VANS SK8-HIについて

「VANS SK8-HI」は、私が最も好きなスニーカーの一つです。

60年代、スケーターの支持を獲得したことにより、数々の名スケートシューズを生み出してきたVANS。SK8-HIも例外ではなく、スケートシューズとして誕生しました。

愛着を持って長らく愛用しているだけに、近頃世間では履いている方があまり見られないのを残念に思っております。

それもそのはず、90年代以降の近年のスケートシーンでは足首をより使いやすいローカット〜ミッドカットのモデルが支持を集めているのはもちろんのこと、ファッションにおいてもOLD SKOOLの方が人気です。

そして、OLD SKOOLの人気も最近では、落ち着いてきてきました。そんな今だからこそ、SK8-HIが入り込む余地があるのではないかと考えています。

SK8-HIが誕生したのは70年代後半。近代に近しいスタイルまでスケートボードを進化させたオーリーがまだ普及しておらず、プールやボウルでスケートをしていた時代です。

今回は古き良きOLD SCHOOLを思い起こさせるSK8-HIの魅力をお伝えします。

1978年に誕生し、VANSのハイカットの代表的モデルSK8-HI

SK8-HIは、1978年にVANSからリリースされたハイカットスニーカーです。

前年1977年にリリースされた「OLD SKOOL」のトレードマークとしてお馴染みのサイドのライン「ジャズストライプ」を施した2つ目のモデルとしても知られています。

SK8-HIも例に漏れずゴム製のバルカナイズドソールにレザー素材のジャズ、VANSが得意とするスウェードとキャンバス生地のコンビネーションを採用。

スケート時の耐久性を高めるトゥのスウェード素材や、足首の保護を目的としたハイカットのデザインは、当時のスケートシューズとして誕生したそのルーツを物語っています。

履き口の3本のステッチに合わせてクッションが詰められた仕様は、1975年に登場したERAより踏襲し、それをハイカットに落とし込んだデザインです。

ハイカットなのにボリュームが出過ぎない絶妙なシルエット

SK8-HIの魅力は何と言ってもローカットのモデルを数多くラインナップするVANSの中で、知名度のある唯一のハイカットモデルという異色さにあります。

そして、ハイカットのスニーカーにありがちな、ボリュームがありすぎて合わせづらいという心配がない点も魅力の一つ。

SK8-HIは、足の指の付け根下からくるぶし上までシューレースホールがあるモデルです。加えて、足首周りは柔軟かつ耐久性のあるキャンバス生地。

そのため、ルーズにシューレースを結んでも過度にボリュームが出ることはありません。反対にキツめにシューレースを結ぶとスリムかつタイトなシルエットになります。

VANSは同じモデルでも、海外品番、VANSのスケートラインのSKATE(旧PRO)、PREMIUMと、それに統合された旧Anaheim Factory CollectionやVAULTのいずれかによって多少シルエットやサイズ感が変わるのがポイント。

SK8-HIも足首周りの柔軟性やトゥやシュータンの幅、シルエットに差はあるものの、共通してボリュームが出過ぎない絶妙なシルエットをしています。個人的なおすすめはVAULTのシルエットに近しいPREMIUMです。

その絶妙な調整のしやすさとシルエットが素晴らしいのです。個人的、ハーフパンツに白いハイソックスで履きたいスニーカーランキングのトップ3に入ります。

幅広い選択肢がある今だからこそ履きたいSK8-HI

90年代に絶大な人気を誇り、苛烈な争奪戦が繰り広げられたNIKE AIR MAXシリーズやReebok INSTAPUMP FURYをはじめとしたハイテクスニーカー。当時、ハイテクスニーカーに憧れていたものの、購入できなかったという方も多いのではないでしょうか。

ところが近年では、ハイテクスニーカーも店頭に並ぶようになり、一般的に購入できるスニーカーの選択肢が広がりました。

そんな現代であえてローテクスニーカーを選択するのも一つのスタイルです。

ローテクスニーカーは、新しいスニーカーと比べると使われている技術はもちろんのこと、履き心地も大きく劣ります。履き始めは、履き口にメッシュなどの柔らかな素材を採用したスニーカーと比べて靴擦れもしやすいです。

さらに、バルカナイズ製法の高い耐久性の反面、決して履き心地が良いとは言えない硬く薄いソールによって、長時間歩くと足はもちろん痛くなります。歩くのがしんどくなってしまうことも多々あります。

この不便さがVANSの格好良さや魅力の一つなのではないでしょうか。

スニーカーの作りや利便性など細かい事は一切気にせず、気取らずラフに履く、かつての輝かしいUSカルチャーを思い起こさせます。

中でもSK8-HIは一般的に人気のあるスニーカーとは言えず、OLD SKOOLやAUTHENTIC、HALF CABなど、VANSの他のモデルと比べて着用している人は限られます。

SK8-HIはVANSの定番にもかかわらず、その人気の低さから人と被りにくい特殊な立ち位置のスニーカーと言えるでしょう。

スニーカーを選ぶ際にはどうか、SK8-HIのことを頭の片隅で思い浮かべてみていただけると幸いです。

See works

Takahiro Ichikawa