0
  • Insights
  • Kazuya Nakagawa

インタビューの難しさと、大切にしていること

弊社では、SEO記事制作やイベントレポートなど、編集に関わるサービスを提供しています。その中の一つとして、インタビュー記事の制作も行っています。

インタビュー記事はSEO記事とは違い、相手との対話を通じて内容が決まっていくものです。そのため、事前に設計したとおりに進まないこともありますし、当日の会話の流れによって、記事の焦点が変わることもあります。だからこそ、我々は特に大切にしているポイントが2点あります。

まずは、話し手の言葉をよく聞き、気持ちや経験に寄り添うこと。そして2つ目は、大事な話を引き出すために、よい質問をすることです。

この2つを意識して対話を深めることで、読み手にとって価値ある気づきが生まれると考えています。話された言葉の意味を受け止め、読んだ人の心にきちんと届く記事に仕上げていきます。

ありがたいことに取材の機会もいただいていますが、回数を重ねるほど、インタビューは簡単ではないと痛感します。どれだけ準備しても、思ったとおりに進まないことがありますし、場の空気や流れで話の中心が変わることもあります。

この記事では、自分が感じるインタビューの難しさや大切にしていることについて綴っていきます。

想定どおりに進まない、インタビューの難しさ

文章を書くこと自体は、ひとりでも完結できますが、インタビューはそうはいきません。相手がいて初めて成立するものです。

相手の話すスピードや言葉の選び方、間の取り方、当日のコンディション、そして場の空気。こうした要素が絡み合い、同じ質問をしても返ってくる言葉は毎回変わります。自分でコントロールできない要素が多いからこそ、難しさを感じます。

また、こちら側が意図した「欲しい答え」を取りにいくほど、会話が不自然になりやすい点です。質問の意図が前に出すぎると相手は構えてしまいますし、逆に気を遣いすぎると踏み込むことができません。これは相手や状況によって変わるため、毎回その場で調整が必要になります。

だからこそ、当日の会話に任せきりにせず、事前の準備で「話の軸」と「戻る場所」を用意しておくことが欠かせません。

「準備で8割決まる」と言われることもありますが、実際に重要だと感じます。ただ、準備を重ねても当日に想定が崩れることは普通に起こります。

だからこそ「準備していくこと」と同時に、「崩れたときにどう立て直すか」まで含めて想定しておくことが大切です。

個人的に気をつけているポイント

インタビューの質を少しでも上げるために、自分は主に「準備・設計・当日の進行」の3つを意識しています。

相手を知るための事前準備

インタビューでいちばん大事にしているのは、相手のことを知ることです。どの会社で働いているのか、どんな経歴なのか、どんな人なのかをできるだけ調べます。

調べる時間は、公開されている情報の量によって変わりますが、数十分で済むこともあれば数時間かかることも。肩書きや実績だけでなく、普段の発信の雰囲気、よく使う言葉、何を大切にしていそうかもチェックします。

相手のことが少しでも分かっていると、質問の切り口が変わります。そもそも相手に関心を持たないままでは、よいインタビューは成り立たないと思っているため、ここは特に意識しているポイントです。

ただ、公開されている情報が少ない場合もあります。そのときは無理に決めつけず、分かる範囲で相手を理解するようにします。

インタビュー記事の設計作り

事前準備が終わったら集めた情報をもとに、インタビュー記事のアウトラインを作成します。自分の場合は、いきなり原稿を書くのではなく、「この記事で何を伝えるか」「どんな順番で聞くか」を先に整理しておきます。

アウトラインはWordで作り、質問を大きなテーマごとに並べます。たとえば、冒頭で聞くこと(自己紹介や背景)、中盤で深掘りしたいこと(経験や工夫、考え方)、最後に押さえたいこと(今後の展望や読者へのメッセージ)といった形で、流れが途切れないように組み立てます。あわせて「この記事で必ず回収したいポイント」も、目印として入れておきます。

作成したアウトラインはPDFにしてiPadに入れ、メモアプリのGoodNotesで見られるようにしています。こうしておくと、インタビュー中に気になった言葉や、あとで見出しになりそうな表現を、その場で書き足すことができるためです。話の順番が変わっても、該当する箇所にメモを寄せられるので、後から整理するときも迷いません。

自分にとってこのアウトラインは、質問の台本であり記事を書くときの手がかりでもあります。当日の会話が想定と違う方向に進んでも、アウトラインがあることで「戻る場所」ができ、記事としてまとめやすくなるメリットもあります。

当日の進め方と調整

当日は、用意した質問をできるだけ全て聞くつもりで臨みます。とはいえ時間には限りがありますし、会話なので話がそれることも少なくありません。脱線から良い話が出ることもありますが、放っておくと大事な部分が薄くなってしまうため集中している部分でもあります。

そのため、時間配分を意識して本筋に戻すことを心がけています。まずは最初に決めておいた質問を一通り回収し、記事の骨格を押さえます。そのうえで、興味が湧いた点や気になった点を、残り時間で深掘りしていくイメージです。

ただ、実際は毎回うまくいくわけではありません。質問を用意していても全部聞けなかったり、うまく話を引き出せなかったりすることはあります。こちら側の聞き方が良くなくて相手が答えにくくなることもありますし、沈黙が続いて焦り、次の質問を急いでしまうこともあります。

だからこそ質問を用意するだけでなく、その場で調整することも大切だと感じています。

相手が答えやすい言い方に変える。言葉が詰まったときは別の角度から聞き直す。話が広がりすぎたときは、失礼にならないように本筋へ戻すなど、インタビューは質問力というより会話を進める力に近いのだと思います。

インタビューは相手に寄り添い、向き合うこと

インタビューで意識しているのは相手に寄り添い、きちんと向き合うことです。

ここでいう「寄り添う」は、ただ相手に合わせることではありません。相手の言葉を急いでまとめず、まずはそのまま受け止めることです。言い切れない部分も含めて、相手が何を感じているのかを意識します。

一方で「向き合う」は、必要なところで踏み込む姿勢でもあります。便利な答えだけで終わらせず、その人にしか語れない背景や迷いが見えてきたときに、もう一歩だけ深く聞いてみます。

もちろん、無理に踏み込みません。ただ、踏み込むべきタイミングを逃さないように意識しています。

うまくいったインタビューは、記事にしたときに「その人らしさ」が残ります。逆に、情報は集まっているのにその人らしさが出ないときは、聞き方や引き出し方が足りなかったと反省します。

インタビューは、相手の言葉を受け取り形にしていく仕事です。SEO記事とは違う難しさがありますが、その分、面白さもあります。これからも、そういう仕事としてインタビューに向き合っていきたいと思います。

See works

Kazuya Nakagawa