今回取り上げるのは、HETKINENの「bark bout fragrance」。
フィンランドの森から着想を得た、自然へと回帰するようなフレグランスです。
ただし、森と聞いて思い浮かべるような、清々しい香りとは少し違います。木や樹脂、土の香りが重なった、温かく落ち着いた印象があります。
フィンランド生まれのHETKINEN
まずは、ブランドであるHETKINENについて。
HETKINENは、フィンランド南西部の都市トゥルクを拠点とするライフスタイルブランドです。
フィンランド語で「HETKINEN」は、「ちょっと待って」という意味なのだそうです。
慌ただしく過ぎていく毎日の中で少しだけ立ち止まり、自分のための時間をつくる。ブランド名には、そのような思いが込められています。
森の奥へと深まる香り
bark bout fragranceを肌につけたとき、最初に思い浮かんだのは、森の中に立つ大きな木でした。
「bark」は、日本語で樹皮を意味します。
この香水の魅力は、時間がたつにつれて、一本の木をたどるように香りが変わっていくところです。
つけた直後には、乾いた木を思わせる落ち着いた香りが広がります。
しばらくすると、樹脂を思わせる温かく奥深い香りが重なります。はじめの乾いた印象は少しずつやわらぎ、木の内側に蓄えられていた温かさが、体温によってにじみ出してくるようです。
さらに時間がたつと、土を思わせる落ち着いた香りが残ります。
木の幹から内側の樹脂へ、そして最後は根元の土へ。香りの変化に合わせて、視線が少しずつ下へ移っていくように感じます。
華やかに広がる香りではありませんが、その控えめな香りに意識を向けていると、慌ただしい日常の中に、ほんの少し立ち止まる時間が生まれます。
そんな感覚が、この香水の好きなところです。
