Webサイトにおける集客は、単に流入数を増やすだけでは成果につながりません。流入経路の構造や、ユーザーが検討から意思決定に至るまでの導線設計によって、その質と安定性は大きく左右されます。
本事例では、広告施策に依存した集客構造を見直し、自然検索を軸とした持続的な集客基盤へ移行したプロセスをご紹介します。その実現に向けて、流入の獲得と検討導線の両面から改善を進めました。
具体的にはサイトリニューアルとSEO施策を組み合わせ、流入の獲得からCVに至るまでの導線を見直した結果、自然検索からのCVは236%まで伸長しました。
この記事では、当初抱えていた課題、実施した施策、その結果として生まれた変化、さらに成果につながった要因を順に解説します。
課題|広告依存の集客構造
ご支援開始時点では、集客の多くを広告に依存した状態でした。
実際にCVの内訳を見ると、前年同時期においてGoogleリスティング広告が55件と最多である一方、自然検索からのCVは19件にとどまっていました。
この数値からも、ユーザーの流入およびCVが広告施策に大きく依存していたことがわかります。
このような構造では、広告費の増減や競合の出稿状況に応じて成果が大きく変動するため、安定した集客基盤とは言えません。加えて、広告を停止した場合にはCVが大きく落ち込むリスクも抱えていました。
さらに、自然検索からの流入も安定しているとは言えない状況でした。その背景には、Googleのアルゴリズム変動の影響を受け、検索順位を落としているページが複数存在していたことが挙げられます。
これにより、本来接点を持つべき潜在層や検討初期層への流入が確保できておらず、結果として広告に依存せざるを得ない状態となっていました。
この状態は、中長期的な顧客獲得機会の損失にもつながってしまうため、広告依存の集客構造から脱却し、自然検索を軸とした持続的な集客基盤の構築が課題となっていました。
施策|サイトリニューアルとSEO強化の両軸で改善
今回の改善では、サイト全体の構造を見直すリニューアルと、継続的なSEO施策を組み合わせることで、集客基盤そのものの再設計を行いました。
単発の施策ではなく、「ユーザー体験の最適化」と「検索流入の強化」を同時に進めることで、流入からCVまでの一連の導線を整備しています。
SEO施策|新規制作とリライトによる流入基盤の強化
まずはSEO施策から着手し、自然検索を軸とした流入基盤の強化を図りました。
リニューアル前のサイトでは、検索順位の低下により自然検索からの流入が安定しておらず、特に既存コンテンツの評価が十分に発揮されていない状態でした。そこで、新規コンテンツの制作と既存記事のリライトを並行して実施し、サイト全体の検索評価を底上げする方針を採用しました。
新規コンテンツでは、これまで対応できていなかった検索ニーズを補完し、流入の入口を広げることを目的としています。一方で、既存記事については、検索意図に対するズレや情報の不足を見直し、構成の再設計や内容の補強を行いました。
特に注力したのはリライト施策です。
まずは全ページの数値状況を確認し、Googleアルゴリズム変動の影響により順位を落としていたページを洗い出しました。
そして、大きく順位を落としていたページから順にリライトを着手。検索意図に即した情報へと再構成することで、コンテンツの網羅性と理解しやすさを高めました。
その結果、対策から2〜3ヶ月で検索順位の改善が見られました。
- 16位から1位
- 14位から2位
- 42位から4位
このような順位回復が積み重なったことで、サイト全体の流入増加につながっています。
このように新規制作による検索領域の拡張と、リライトによる既存資産の再活用を組み合わせることで短期的な流入獲得と中長期的な評価向上の両立を実現しました。
単発の施策ではなく、サイト全体の構造を踏まえた継続的なSEO運用が、成果につながった要因といえます。
UI・サイト構造の見直し|検討しやすい導線の再設計
SEO施策と並行して進めたのが、サイト全体のUIおよび構造の見直しです。
従来のサイトでは情報が分散しており、ユーザーが必要な情報にたどり着くまでに負荷がかかる状態でした。そこでページ構造を整理し、サービス内容や来店に関する情報へスムーズにアクセスできるよう設計を見直しました。
あわせて、視認性の改善や導線の整理を行い、ユーザーが迷わず検討を進められる状態を目指しました。特にスマートフォンでの閲覧体験を重視し、情報の優先順位やレイアウトを見直しています。
これらの取り組みにより、単なるデザインの刷新にとどまらず、比較・検討しやすいサイト構造へと改善しました。
結果|自然検索CVが236%に増加し、集客構造が変化
施策の結果、CVの総量だけでなく流入経路の構造に大きな変化が見られました。
自然検索からのCVは、前年同時期の19件から45件へと増加し前年比236.8%と大きく伸長。一方で、Googleリスティング広告からのCVは55件から17件へと減少し、従来の広告中心の構造から変化が生じていることが確認できました。
これまで、広告に依存して獲得していたCVの一部を、自然検索によって獲得できる状態へと移行したことで、より持続的な集客基盤が形成されつつあります。単なる数値の増減にとどまらず、集客の質そのものにも変化が見られました。
また、GoogleやYahoo!といった自然検索に加え、ChatGPTやInstagramからのCVも発生しており、複数の接点からユーザーがサイトに流入し、CVに至る構造へと広がりを見せています。
結果として、特定のチャネルに依存するのではなく、自然検索を軸としながら複数の流入経路が機能する、安定性の高い集客構造へと移行しつつあります。
分析|なぜ成果が出たのか
今回の改善で重要だったのは、流入の獲得とCVまでの導線設計を分断せず、一連の流れとして設計した点にあります。
闇雲にアクセス数を増やすのではなく、ユーザーの検討プロセスに沿って、適切な情報を適切な順序で届ける構造を構築したことが成果につながった要因です。
情報コンテンツが流入の入口として機能
まず、コラム記事を中心とした情報コンテンツが、ユーザーの情報収集段階における入口として機能した点が大きな要因です。
検索行動の初期段階では、ユーザーはサービスの比較や来店を前提としているわけではなく、「知りたい」「調べたい」というニーズを持っています。これらの検索意図に対して適切なコンテンツを用意したことで、自然検索からの流入を獲得できる状態へとつながりました。
その結果、これまで接点を持てていなかった潜在層や検討初期層との接触機会が増え、サイト全体への流入基盤が強化されています。
検討フェーズへの導線が機能
流入後の導線設計においても改善が見られました。
CV直前に閲覧されているページを確認すると、トップページやキャンペーンページ、店舗ページ、プランページといった検討段階に該当するページが多く閲覧されています。
これは、情報収集を目的として流入したユーザーが、サイト内で比較検討を行い、その上で問い合わせに至るという一連の流れが機能しています。
単に情報を提供するだけでなく、検討に必要な情報へと自然に遷移できる導線を整備したことが、CVの増加に寄与したと考えられます。
リライトによるサイト全体の評価向上
既存コンテンツのリライトによる、評価の底上げも成果につながったポイントのひとつです。
新規コンテンツの追加だけではなく、既存記事の改善を継続的に行ったことで、検索エンジンからの評価がサイト全体で向上しました。特に、検索意図に沿った内容への再構成や情報の補強を行うことで、個別ページの順位回復と流入増加が実現しています。
その結果、特定の記事だけに依存するのではなく、複数のページから安定的に流入が発生する構造へと変化しました。
現状、全てのページを底上げできたわけではありませんが、徐々にその本数は増加傾向にあります。
多チャネル化を前提とした集客設計へ
今回の施策により、自然検索を軸とした集客基盤は一定の成果を上げることができました。一方で、ユーザーの情報収集行動は検索エンジンにとどまらず、生成AIやSNSへと広がりを見せています。
こうした変化を踏まえ、今後は情報コンテンツのさらなる拡充を進めるとともに、生成AI上での露出機会の創出や、SNSとの連携強化に取り組んでいる最中です。
単に流入チャネルを増やすのではなく、それぞれのチャネルにおける役割を整理し、ユーザーの検討プロセスに沿った設計を行うことが重要になります。
今後は、検索流入に依存するのではなく、複数チャネルが相互に機能する集客構造を構築することで、より安定性と拡張性の高いマーケティング基盤の確立を目指します。