2026年6月、東京・新宿住友ビル三角広場で開催された「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026」に参加しました。
普段、自動車に関する記事編集に関わる機会はありますが、正直なところ、電動モビリティや自転車を軸にしたまちづくりについては、深く語れるほどの知識があるわけではありません。
今回参加したのは、自動車だけでなく、自転車、EV、電動バイク、電動アシスト自転車、シェアサイクルなど、移動を取り巻く選択肢がどのように広がっているのかを、自分の目で見てみたいと思ったからです。
実際に会場を見てみると、そこにあったのは単なる「乗り物の展示」ではありませんでした。
EVや電動バイク、電動アシスト自転車といった新しい移動手段は、便利なプロダクトである一方で、道路や駐輪場、充電設備、交通ルールなど、まちの仕組みとも深く関わっています。
今回の展示会は、これからの移動を考えるうえで、モビリティを単体の製品としてではなく、社会の仕組みとあわせて見る必要があると感じる機会になりました。
この記事では、イベントに参加して感じたことを整理していきたいと思います。
今年で11周年を迎える「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026」
「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026」は、自転車や電動モビリティを中心に、これからの交通やまちづくりを考える展示会です。
正直、こういったイベントが開催されていることを今回参加するまで知りませんでしたが、今年で11周年を迎えるイベントとのことです。
会場は新宿住友ビル三角広場。EVや電動トラック、電動バイク、電動アシスト自転車、水素自転車など、脱ガソリンを志向する電動系モビリティに関する展示が行われていました。
また、展示の対象は乗り物そのものだけではありません。EV用の充放電機器、駐輪・駐車場機器、交通インフラなども主要テーマとして掲げられており、モビリティを活用したまちづくりまで含めて考える展示会となっていました。
これからは、移動手段を選ぶ時代へ
これまで、日常の移動手段といえば、自動車、自転車、バス、電車などが中心でした。
なかでも自動車は、通勤、買い物、旅行、物流など、さまざまな場面で生活を支えてきた存在です。特に地方や郊外では、今もなお自動車が欠かせない地域も多くあります。
一方で、近年は移動の選択肢が少しずつ広がっています。
EVの普及、電動アシスト自転車の一般化、電動バイクや小型モビリティの登場、シェアサイクルや電動キックボードのようなサービスの広がりなどにより、移動手段は以前よりも多様になってきました。
もちろん、すべての移動が電動モビリティに置き換わるわけではありません。長距離移動や大きな荷物を運ぶ場面では、今後も自動車の方が適しているケースは多いでしょう。
一方で、駅までの移動、近所への買い物、観光地での回遊、短距離の配送、商業施設内や地域内での移動など、距離や目的によっては、自動車以外の手段が適している場面もあります。
ただし、移動手段の選択肢が増えるということは、それを受け入れる社会側の仕組みも必要になります。
たとえば、駐輪場や充電設備、走行空間、交通ルール、保険、メンテナンス体制などが整っていなければ、どれだけ便利な乗り物であっても、日常の移動手段として定着するのは難しいでしょう。
つまり、これからのモビリティを考えるうえでは、乗り物そのものの性能や利便性だけでなく、それを安全に使い続けられる環境まで含めて見る必要があります。
モビリティの変化は、単なる乗り物の進化ではなく、まちや社会の設計とも深く関わっているのだと感じました。
ガソリン車も、最初から社会に定着していたわけではない
現在、ガソリン車は当たり前のように道路を走っています。
しかし、それは単に自動車という乗り物が便利だったからだけではありません。自動車の普及に合わせて、道路、交通ルール、免許制度、保険制度、安全基準、整備体制などが、長い時間をかけて整えられてきたからです。
戦後の日本では、車両の保有台数や運転免許保有者数が増え、自動車は次第に国民生活に欠かせない移動手段になっていきました。一方で、その過程は決して順調なものばかりではありませんでした。
自動車の普及とともに、交通事故も大きな社会問題となりました。高度経済成長期には交通事故死者数が増加し、1970年には過去最多となる1万6,765人に達しました。この状況は「交通戦争」とも呼ばれているそうです。
つまり、自動車は普及と同時に、事故や安全性の問題とも向き合ってきた乗り物でもあります。
その後、道路交通法をはじめとする交通ルールの整備が進みました。信号、標識、速度制限、運転免許、違反の取り締まりなど、車が安全に道路を走るための前提が少しずつ形づくられていったのです。
また、自動車が長距離移動や物流を支える存在になるには、道路インフラの整備も欠かせませんでした。高速道路や幹線道路が整備されたことで、自動車は個人の移動手段にとどまらず、人や物を広域に運ぶ社会インフラとしての役割を強めていきました。
さらに、事故が起きたときの被害者救済や、車両の安全性を保つ仕組みも整えられてきました。自賠責保険をはじめとする制度は、事故が起きた際の被害者救済を支えるものです。車検や整備制度も、車両の安全性を保つうえで重要な役割を担っています。
こうして見ると、ガソリン車は最初から現在のように自然な存在だったわけではないことが分かります。
事故の増加、交通ルールの整備、道路インフラの拡充、保険制度や安全基準の確立など、さまざまな課題に向き合いながら、時間をかけて社会に定着してきました。
そのため、電動モビリティを社会に定着させるには、利用者、事業者、自治体、国が連携しながら、地域ごとに適した導入方法を考えていく必要があります。
地域の課題や交通環境に合わせて、どのように使うのかを設計することが重要なのだと思います。
これからの移動を、社会の変化として見ていきたい
今回、「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2026」に参加して、モビリティに対する見方が少し広がりました。
自動車、自転車、電動バイク、電動アシスト自転車、シェアサイクル、小型モビリティといった移動の選択肢は、これからさらに広がっていくはずです。
ただ、その変化は乗り物だけで完結するものではありません。
新しい移動手段が増えれば、まちの設計も、交通ルールも、インフラも、利用者の意識も変わっていく必要があります。
ガソリン車が社会に定着してきたように、これからのモビリティも、乗り物そのものの進化だけでなく、それを支える社会の仕組みづくりとともに広がっていくのだと思います。
その変化が何年後に、どのような形で日常に定着するのかはまだ分かりませんが、これからの電動モビリティには引き続き注目していきたいと思います。
