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地域の中にアートが息づく、新高島駅に生まれた文化の拠点

ここ数年、「アート×地域活性」をテーマに掲げたまちづくりが、全国各地で広がりを見せています。

なかでも、日常生活の延長で気軽に楽しめるアート空間を整備する動きが活発になっており、身近な場所でアートと出会える機会が増えてきました。

たとえば、神奈川県の新高島駅に誕生した「Art Center NEW」では、通勤・通学といった日常動線にアートを組み込むことで、日々の暮らしの中に自然なかたちでアートを差し込んでいます。

アートに詳しくない人も、ふとした瞬間に作品を目にすることで興味を抱き、少しずつその世界に惹かれていきます。こうした無理のないアートとの接点をつくることが、現在の地域アートにおいて大切な役割を担っているといえるでしょう。

新高島駅で楽しむ無料アートスポット「Art Center NEW」

神奈川県横浜市にあるみなとみらい線・新高島駅には、2025年6月にオープンした新しいアート施設 「Art Center NEW」 があります。

横浜駅から一駅、新高島駅の改札を出てすぐ直結の地下空間(B1階)に広がる大空間がまるごとアートセンターになっており、まさに“駅ナカ”でアートを楽しめるスポットです。

施設名の「NEW」には「新しい」「これまでになかった」という想いが込められており、その名の通り常に斬新な試みを発信していくことを目指しています。

横浜駅からも徒歩15分程度と比較的近いので、横浜散策のついでに立ち寄ることも可能です。営業時間は12:00〜20:00。定休日は展覧会、イベントごとに異なるためホームページを確認しておきましょう。

Art Center NEWでは無料で入れるエリアと有料の展示エリアが分かれています。

エントランスから右手奥にあるスペースと、受付周辺は誰でも入場無料のギャラリーエリアになっており、季節ごとにさまざまな作品が展示されています。

無料ギャラリーにもいくつか現代アート作品が展示されていて、初心者でも思わず引き込まれるような多彩なコンテンツを無料で楽しめます。

駅ナカとは思えない開放的な空間で、ショッピング途中の休憩がてらカフェ併設のアート空間に立ち寄るのもおすすめです。ちなみに館内にはZINE(自主制作の小冊子)やアートグッズを扱うエリアもあり、作品鑑賞後にゆっくりお買い物やお茶ができるのも魅力です。

一方、左手側の有料エリアは企画展スペースになっています。年に数回、テーマごとの展覧会が開催され、期間限定の企画展を鑑賞できます。

グランドオープン記念展としては2025年6月1日~7月20日に企画展「NEW Days」が行われ、若手からベテランまで8名のアーティストが「新しい日々」というテーマを各自の視点で表現した作品が展示されました。

この夏、新高島駅でアートと出会う「NEW SUMMER」

2025年7月30日(水)から9月2日(火)まで開催される「NEW SUMMER」は、アートを気軽に楽しめる多彩なプログラムが揃った夏季限定の企画です。

音楽やパフォーマンス、イベント、映像上映、展示が一体となった「NEW FES」や、子ども向けのワークショップやフリースペースの開放を通して夏休みを彩る「Art Center NEWであたらしい夏休み」、さらにホラー映画をテーマにした上映企画「NEW HORROR MOVIE」など、内容はバラエティ豊か。

なかでも注目なのが「Art Center NEWであたらしい夏休み」。新高島駅構内の広々とした空間がフリースペースとして開放され、現代アーティストと一緒に自由な発想で創作に取り組むワークショップが行われます。日常の延長線上でアートに触れられる、そんな新しい夏の体験が待っています。

駅ナカで広がる新しい文化のかたち

地域とアートの関係は、いまや単なる観光資源にとどまらず、暮らしそのものを豊かに彩る存在へと進化しています。

神奈川県・新高島駅に誕生した「Art Center NEW」は、駅ナカという日常に溶け込んだ空間に、ギャラリーやカフェ、ワークショップの場を設けることで、「アート=特別なもの」という先入観を、やさしくほどいてくれます。

アートが通勤や通学といった生活の動線に自然と入り込むことで、地域のなかには新しい会話が生まれ、見慣れた風景にも少しずつ変化が訪れていきます。こうした動きは、これからの地域づくりに新たな可能性をもたらしてくれるはずです。

これからのアートは、「観に行くもの」から「暮らしの中でふいに出会うもの」へと、そのかたちを変えていくのかもしれません。

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Kazuya Nakagawa