第3クオーター最終月となる5月は、目に見える成果こそ限定的ではありましたが振り返ればさまざまな動きが交差する1ヶ月でした。
既存のお客様から新たなご相談をいただく場面もあった一方で、業務の品質や姿勢において見過ごせない課題も明らかになり、光と影が交錯する月だったと感じています。
実感できた成長
まずは組織として成長を実感できたトピックから振り返ってみます。
1. アクセス数前年度比1000%超の継続
昨年度はほとんど何の施策も講じてこなかったという前提があるため、そもそもの数字が低かったことは否めません。とはいえ、アクセス数が3ヶ月連続で前年同月比1000%を超えたという結果にはやはり特別な意味を感じています。
この数字は単なる偶然の産物ではなく、小さな試みの積み重ねが着実に作用し始めていることの証ではないだろうかという実感があります。
コンテンツの質の見直し、更新頻度の調整、届け方の工夫など、一つひとつの要素はまだ未完成で不安定な部分も多いものの、少しずつ噛み合い始めている手応えがありました。
もちろん、もともとの基盤が乏しかったからこそ実現できた急激な伸びであるという冷静な認識は持ち続けています。
ですが、何もなかった場所に流れをつくり、それが「継続している」という事実には、数字以上の意味があるような気がするのです。
この3ヶ月は目先の成功というよりも、「続けることで結果がついてくる」というごく基本的な構造を自分たちの手で確かめられた期間でした。
数字に過信することなく、しかし、数字に見える変化を信じる。その目線を持ちつつ今後も足元を固めていきたいと思っています。
次の一歩に向けて
組織をより良くするために、全員が意識して取り組んでいきたいと感じた点を振り返ります。
1. 編集チーム体制の再構築
編集チームの体制そのものを大きく見直す局面に来ているような気がします。
それはただ人員を再配置する、業務フローを整理する、といった表層的な調整にとどまらず「そもそもこのチームは何を目指すべきか」「私たちは何のために編集という営みに取り組んでいるのか」といった、根本的な問い直しを進めています。
これまでのやり方をよりアップデートしなくてはならないという極めて確かな実感がある一方で、次に何をどうすればいいのかは正直まだ手探りの状態です。しかし、その現実を直視するところからしか本質的な変化は始まらないと考えています。
私たちが目指すのは単に文章を整える「作業者の集まり」ではなく、言葉を通して課題を解きほぐし、価値を再構築する「編集的視点を持つチーム」です。クライアントの言葉にならない違和感をすくい上げ、社会に向けて意味ある表現に変換する。そのためには、個々人のスキルだけでなく、チームとしての思想や関係性の質が問われます。
現在は、そうした「編集の本質」に立ち返りながら、目指す方向をメンバーとともに対話し、共有し、少しずつかたちにしようとしている段階です。まだ未完成で、輪郭はぼやけているかもしれません。しかし、だからこそ、今この再構築のプロセスそのものが、チームにとって大きな学びの場となると思うのです。
2. 企画力の向上
4月の振り返りでは「企画を疎かにしない」という課題意識を持ちましたが、5月を通じて改めて実感したのは、企画というものは思っている以上に奥深く、そして終わりのない考察の賜物ということです。
自社の企画であれ、お客様にご提案する企画であれ、まだまだ私たちは深さにおいて足りていないと感じました。どこか既視感のある構成や、フォーマットに寄りかかった発想に安住していないか。その問いを脇に置いたままでは、型にはまった反復しか生まれません。ここに大きな課題を感じました。
本来、企画とは状況や課題に潜在する固有の「違和感」「特徴」などに触れ、それをほどくところから始まるべきものです。簡単に「企画を立てる」と済ませてしまわず、一つひとつのテーマと向き合いながら、私たちにしか出せない解像度の高さを追求していきたいと思っています。
3. クオリティとは何かを問い直す
撮影にせよ、記事にせよ、私たちが日々生み出しているアウトプットには、まだまだ伸びしろがあると感じています。
もちろん、常に上を目指すという意識はチームの前提として共有されています。が、まだ足りません。
そもそもその「上を目指す」とは具体的にどういうことなのか、曖昧なままになっていないだろうか。その点にも目を向ける必要があると感じます。
良いものをつくるためには、良いものを知ることが不可欠です。
日々のインプットが貧しくなれば、表現はすぐに痩せてしまいます。目の前の成果に追われるあまり「なぜこれがいいのか」「その良さはどのように構成されているのか」という問いを立てることを後回しにしてはいけません。
インプットを単なる情報収集で終わらせず、批評の視点を持って深める。その積み重ねこそが、最終的にアウトプットの質を押し上げる力になるはずです。
4. 現状維持という誘惑に抗えるか
継続してお客様の業務を任せていただいているからこそ、日々のアウトプットが慣れに支配されていないかを自問しなければならないと感じています。もしかすると5月最も強く感じたのはここかもしれません。
実績やルーティンがあることは安心材料である一方で、それが「いつもどおりでいい」という油断や惰性につながる危険性を孕んでいます。
プロとして仕事をするというのは、ただ過不足なく納品することではなく、常に「より良いかたち」を問い続けることです。求められた水準を満たすだけでなく、その一歩先にある可能性に向かって、どのような工夫ができるか。どのような視点を持ち込めるか。その都度、考え、更新していくことが必要だと感じます。
もし私たちが常に思考せず「今日はとりあえず今のままでいいや」と現状維持を選択してしまえば、お客様に対して不誠実であるということに他なりません。
現状維持という名の惰性に陥らないために、私たち自身がまず「変化を楽しむ」マインドを持ち続けていたいと思います。
5. 忙しさの中で、学ぶことを置き去りにしない
毎回こんなことを書いている気がしますね…。
5月は新たに始まったプロジェクトへの対応に追われることもあり、どこか落ち着かない時間が続いたように思います。その中で、個々人が本当に十分なインプットをできていたのかと問われれば、正直なところ、胸を張れる状況ではありませんでした。
日々の忙しさは、たしかに現場のリアルです。
しかし、どれだけ時間がなかったとしても「学び」を疎かにしてはなりません。それは言い換えれば、「私たちがどのようなチームでありたいか」という問いに直結しています。
表面的なパフォーマンスを保つだけでは強いチームにはなれません。
問いを持ち、言葉を磨き、視点を耕さなくてはならないのです。それらを日常的に行うことが、最終的にプロとしての信頼や成果につながっていくはずです。
インプットを「特別な時間」ではなく「日々の習慣」として根づかせていくことはこれからの課題であり、目標です。
2025年6月の動き
今期もいよいよ最終クオーターに入りました。
まず何よりも優先すべきは現在お任せいただいているお客様のお仕事をひとつひとつ丁寧に、最高の状態でお渡しすることです。
その上で、今月はもう一段階、視座を上げていく必要があると感じています。まずは編集チームから。
「私たちが目指す編集とは何か」「このチームが担うべき編集の意義とは何か」といった、根本的な定義を問い直し、言語化するタイミングが来ているのではないかということです。
これまで積み上げてきた実績や仕組みに一定の自信を持ちながらも、それに安住せず、変化する社会やクライアントの課題に対して、自分たちの編集がどのように応答できるのか。私たち自身の存在意義を改めて見つめ直し、次のフェーズに向けた軸を定めていく1ヶ月にしたいと考えています。